子ども虐待の支援に携わる保健師が抱える困難さ
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概要
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本研究は保健師の子ども虐待の支援に携わった体験から、支援の困難さを明らかにしていくことを目的に帰納的、記述的研究を行った。その結果【子どもの状況を把握することの困難さ】【家族の中の母親を支え続けることの困難さ】【母親の養育行動を変えることの困難さ】の3つのカテゴリーが導き出された。保健師は家庭訪問時、毎回母親が留守にすることで子どもの状況を確認することができず、成長発達への影響や生命への不安を増大させていた。また母親の抱えている辛い思いを傾聴するが、母親の感情に引きずられ、さらに家族関係の調整の難しさに無力感を抱いていた。育児行動の未熟な母親に繰り返し指導を行うが、育児行動の変化は乏しく保健師は苛立ちを持つとともに、母親のそばで育児を見守る身近な存在がいないことで、子どもに生じる事件、事故による命の危険を感じ子どもの安全を祈る思いに至っていた。
- 2009-07-20