施設で排泄援助を受ける高齢者の体験
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概要
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本研究の目的は,排泄援助を必要とする高齢者が援助スタッフから受けている排泄援助に対してどのように受け止めているのかを明らかすることである.11名の協力者に対して半構成的面接を行ったものを逐語録化し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を参考に分析を行った結果,7つのカテゴリーが見出され,以下のことが明らかになった.施設で援助を必要とする高齢者は,排泄援助を【頼みにくい】状況にあるが,【したたかに対応する】【他者をいたわる】ことで【自己を保つ】ことができる.一方で提供される排泄援助に対して【耐えられない】という感情が出現するのだが,施設のルールに従うしかないので【我慢して受け入れる】ようになる.さらに《おむつのほうが慣れたら楽》というように,【過剰に適応する】態度をとってしまうことがある.この結果から,病院や施設の援助スタッフは,排泄援助を受ける高齢者の心情に目を向け,個別性の高い排泄援助を提供する必要があることが示唆された.
- 2008-11-01