蝦夷種族論序説(上)
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概要
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筆者が一応独自の観点に立つ"蝦夷アイヌ説"を世に問うてから、すでに十余年の歳月が流れた。その間の研究成果は、学位請求論文として纏められたが、まだ改訂を加え、再考を要する点も残されているので、容易に出版、公表の機をえないし、本誌にのせた数篇の小稿は、そのうちから、発表が可能な部分をぬき出したものにすぎなかつたから、筆者の意図するところの全貌を明らかにしておらず、読者の十分な理解をうることができなかつた。従つて、予め期待したような批判らしき批判、聞くべき高評をうけることが少なく、まして、多くの賛同をかちえることもなく打ち過ぎたといえる。今回久しぶりに執筆の機をえたので、従来の欠を補なおうと考えたが、完璧を期するには紙面に限りがあり、期限も迫つているので、最初の論文が早くから入手困難とされている現在、改めて再説を試み、えみし(蝦夷)文化の復原を中心に、全休を要約する形で筆をとることにした。もちろん、できる限り旧稿を補訂し、その欠を補うことを目的としている。また私事ではあるが、さきに本研究の直接の恩師である、松本芳夫教授の古稀記念号が刊行された際には、病後のため祝意を表する機会を失い、今春には測らずも先生の勇退が現実となるに至つたので、改めて感謝の微意をこめて、この小論を捧げたいと思う。従つて、最近の筆者の考えには動揺もあるが、教授の示唆による"種族論"ということばを、今回も用いた次第である。
- 慶應義塾大学の論文
著者
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