脱喩化の途 : 『パルメニデス』(132C 12-133 A 7)から『ソピステス』の虚偽論へ
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概要
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類別の境界線ケースとしての泥 システムの一部としての毛髪,知覚からさえも排除されようとする汚物,これらについて見え姿から類似性を媒介にその原範型(イデア)を思考することはできない.イデアと感覚的事物とを,神的な模範を用いて描く画家(Resp. 500 E)のように比較して眺めうる視点は,我々に与えられていない.そして肝腎なことは,そのような視点の不在を,言いかえれば我々の生のパースペクティブの変換がいかにしてなされうるかの問を隠蔽するものとして,範型/似像用語が使われうるということだ.この隠蔽の働きをかりに「絵のメタファー」と呼び,そしてそこからの移動,すなわち像性を類似性から分離することを,ここで「脱喩化」と呼ぶことにする.脱喩化が原範型説のモチーフの展開にほかならぬことを明らかにする,これが本稿の考察課題である.
- 1985-03-29
著者
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