3.凍結温度による植物細胞の破壊度の違い : 凍結真空乾燥法の基礎として(A.凍結及び乾燥過程における細胞の形態について)
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概要
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植物組織の凍結真空乾燥法に当って、凍結温度によってこれが復元した細胞や組織の破壊度に違いをもたらすようになり、食品の品質に影響を及ぼすことが予想される。この点を明らかにするために、タマネギの表皮および柔組織の切片を-5、-10、-20、-30、-50、-70℃の低温に90〜180分さらした後、約-10℃で低温固定して検鏡した。その結果、-50℃では核に異常がなかったが、-10℃では核の破壊のもつともはげしいことが認められた。さらに温度が下るにつれて破壊の度合が軽減し、-50〜-70℃処理では核の破壊度がもっとも少なかった。これは細胞内に出来た氷の大型融合化の速度が凍結温度によって違うためと考えられる。さらに、丸のままのタマネギを約-50℃で冷却したときの体温の分布を測定して、内部の温度が非常に低下しにくいことを認めた。これから凍結処理に際しては、材料の大きさやその温度分布を考慮しなければならない。
- 低温生物工学会の論文
- 1962-04-07