流域管理システムの検討と地域の林業構造(自由論題論文,1995年秋季大会)
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概要
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本稿の課題は,地域林業の生産力構造と資源管理までを含めた一体的発展構造の形成に向けて,流域管理システムが構造形成の軸となり得るのかについて検討し,現在時点での問題点を明らかにすることである。ここではこれまでの議論から,地域の林業生産力構造の分析が中心をなす。ここで取り上げた宮城県鳴子町は,これまで国有林中心の林業の構造展開がみられたが,国有林天然林資源の減少と一方での民有林を中心とした人工林資源の充実化という森林資源の移行期にあって,国有林中心の林業構造が弛緩した段階にある。こうした展開下における素材生産業,製材業は,いわば産業資本的展開をなお遂げておらず,依然として商人的性格を払拭していないことないしは,商業資本的段階にとどまる生産力水準にとどめており,地域の林業構造は分断的様相を呈している。しかしそれは,国有林の論理が支配的な生産力構造の歴史的展開に強く規定されているためである。従って,流域管理システムも現状の構造を前提とする限り,生産力構造の歴史的展開に規定されるのであり,構造形成の軸に必ずしも位置付くわけではない。
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著者
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