3. 大腸菌の低温応答変異株について(セミナー「低温と生物」)
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概要
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大腸菌K-12株は7.5℃で急速に死滅する(低温感受性,Csg)が,同温度で増殖能を示す低温耐性(Cr墓)変異株,MET1およびMET2,を単離した。K-12株にPA3092株由来のtrpB遺伝子を導入したMET3株は,8-10℃の広い範囲で著しく死滅する低温超感受性(Css)を示した。この広範な死滅温度域でMET3株の細胞は糸状化を示した。これに対し,MET1由来のorg-1遺伝子を形質導入したMET6株は,7℃以上で正常に増殖し低温耐性の形質を示した。crg遺伝子は,接合と形質導入実験により,大揚菌染色体の27.5分に位置するtdk遺伝子の極く近傍に存在する.Css形質に関わる遺伝子は,crgそのものか,あるいは極く近傍に存在すると推定された.野性株染色体から,MET3のCss形質を相補するDNA断片をクローン化した.相補能を示すDNAは,チミジンキナーゼと推定された遺伝子に隣接し,ピストン様蛋白質H-NSをコードすることが判明した.多面的な遺伝子発現制御におけるH-NS遺伝子の働きについて考察した.
- 低温生物工学会の論文
- 1992-10-20