1-3. 変異原性試験用菌株の保存(Seession 1:微生物の保存,セミナー「凍結乾燥とその応用」)
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概要
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復帰変異試験(Ames testなど)や修復試験(Recassayなど)に用いる指示菌株は,変異原に鋭敏に反応し変異しやすい.このため,保存条件によっては遺伝的性質が変る可能性が高く,研究機関によって実験結果が異なる原因の一つにもなっている.特に最近になって作出されたTA102株などは,従来の指示菌株では検出の難かしかったブレオマイシン,アルデヒド類,キノン類過酸化物などの化学物質の変異原性を検出できる反面,自然復帰変異頻度が高くなりすぎたり,hotspotとしてもつplasmidを失ない易かったりして,維持していく上でやっかいな菌株でもある.従って,指示菌株の保存には十分な配慮が必要である.一方,これらの試験は高度な技術がなくとも容易に実施できることが利点となっており,菌株について特殊な保存方法を用いたり,試験毎に必要な性質を調べなおすなど煩雑な作業が加わるのは望ましくない.そこで容易に行えて,しかも試験毎の変動を少なくし,指示菌株を安定に保存できる方法について述べたい.
- 低温生物工学会の論文
- 1984-08-20