中国における2つの民主化運動に関する考察
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概要
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はじめに 1990年代初頭の民主化の流れの中で、ソ連と東欧の社会主義は崩壊した。しかし中国では、89年の天安門事件などを経験しながらも、依然として共産党による一党支配が続いている。この両者の相違を考える際にまず問題になってくるのは、社会主義体制下における民主化や自由化のメカニズムとその限界であろう。本稿では、中国の建国後初めて行われた57年の民主化運動と、現在までのところ最後となっている89年の民主化運動を考察の対象としている。この両者には30年という年月の隔たりがあるにもかかわらず多-の共通点が存在するという点は既に指摘されているところであるが、それを包括的かつ実証的に分析する試みはまだほとんどなされていない。その理由の一つとして、57年の民主化運動に関する先行研究の少なさが挙げられる。そこで本稿ではこの2つの民主化運動について'特にその背景要因と運動の中で提示されたさまざまな民主化要求に焦点を当てている。そうした実証的な分析に基づき、中国における民主化運動のメカニズムと限界について幾つかの考察を試みたい。
- 山形大学の論文
- 2001-12-31