宗教と環境倫理(<特集>宗教と倫理)
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概要
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本研究の目的は、現代の環境倫理が直面せざるを得ない困難に立ち向かう際に宗教的なリソースがどのような仕方で持ち出されたかを検討することを通して、現代に生きる宗教的環境倫理を論じ、それによって宗教を勘定に入れた環境倫理の重要性を示すことにある。そのためにまず本論で用いる「倫理」「環境倫理」の意味を明らかにし、ついでグローバルな環境問題に対して最も有効であるように思われる公けの政策や国際協力がもっている限界と、実効性のない精神主義であるとして軽視される傾向のある宗教的倫理の持つ意義について指摘したのち、実際に宗教(者)がリードした環境保護活動を題材とし、環境活動を支えた宗教的倫理とそれが果たした役割を論じた。その中で、宗教を通じて伝えられてきた祖先たちの自然との関わり合いかた、環境とのコミュニケーションのありかたを辛抱強く学び、実践することが内在的な価値基準(倫理)の転換を起こし、行動原理の変化を起こすことを示した。
- 2009-09-30