インド宗教における「宗教と倫理」の関係性の考察 : シク教研究を中心として(<特集>宗教と倫理)
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概要
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小論では、まずインドにおける宗教と倫理の関係性を論ずる前に、「倫理」という言葉の意味背景を明らかにし、日本語の倫理という言葉が持つ問題点を明らかにした。その後、インド中世において独自の思想で教団を創設したナーナクの教えを中心に、その宗教教理が、シク教徒の日常倫理とどの様にリンクし、現実生活においてシク教徒がそれを如何に実践し、現実世界において独自性を発揮してきたかを明らかにした。特に、シク教徒の合理的で、現実主義的な教えは、世俗生活における行動規範に強く生かされ、シク教徒はインドの近代化に大きく貢献をしてきたのである。そこには、シク教の宗教的な理想を現世において実践しようとする近代ヨーロッパとは異なる形であるが、宗教と倫理の一致の思想がある。
- 2009-09-30