ネコ視床中継核活動と通流
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概要
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クロラロース・ウレタン麻酔下のネコの視床VPL核から皮膚振動刺激による単位性スパイク発射,遅い誘発電位およびストリキニンスパイクを記録し,これらに対する通流の影響を観察した。単位発射では,大脳表面が陰性になるよう通流されると,そのスパイク高は減少し,陽性通流により,それは増大した。しかし通流強度を+6mA程度に増すとスパイクの欠落が見られた。VPL核内の介在ニューロンからと思われるスパイク発射では,通流で同様な効果がみられるものと,変化のみられないものとがあった。遅い誘発電位をAndersenらの言うP波とN波とに区分すると,大脳表面陰性通流によりP波は増強し, N波は減弱する。表面陽性通流では逆にN波が増強しP波も軽度に増強した。振動誘発性ストリキニン波vibration-triggered strychnine waveでも同様の傾向が認められたが,ストリキニン投与量の増加により陰性通流によるN波成分の一層の減少とその経過が幾分延長する傾向が認められ,通流効果が顕著に現われた。大脳通流がVPL核に直接作用し陰性通流ではVPL核活動を減じ,陽性通流ではそれを高める。一方,通流は介在ニューロンにもおよび,たとえば強い陽性通流では,その活動が高められてVPL核の活動をかえって抑制する結果となる。
- 千葉大学の論文