下部食道噴門癌のX線学的所見と手術術式との関係
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概要
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下部食道噴門癌は,その食道への癌浸潤の程度から,腹腔内または開胸開腹で手術を行なうが,術前にどの術式で行なうか決定することは困難なことが多く,術中の触診による判断でさえも食道断端の癌残存(+)となる症例が見受けられる。この問題,すなわち腹腔内手術か開胸開腹手術かという問題を術前にX線上解決できるかどうか検討するため,まず正常下部食道噴門部とくに食道胃接合部のX線像の検討を行ない,さらに下部食道噴門癌症例において,そのX線像と切除標本および手術術式を比較検討し,つぎの結論を得た。まず,食道胃接合部から食道への癌浸潤が, X線上(立位右側横位) 1cm未満のものは腹腔内手術可能であり, 2.5cm以上のものは開胸開腹手術が必要となる。さらに,癌腫口側端の型をX線上限局型と浸潤型に分けて検討すると,食道への癌浸潤の長さ(X線上)が限局型では2.5cm未満,浸潤型では1.0cm未満のものは腹腔内手術が可能であり,それ以上の長さの癌浸潤のあるものは食道断端の癌残存の面から考え,開胸開腹手術が必要となる。
- 千葉大学の論文
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