胃X線像における胃変形および辺縁異常像の診断学的研究 : とくに胃前庭部と胃角部について
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概要
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胃癌とくに早期胃癌のひろいあげ診断能を向上させるために,立位正面充満像について胃変形および辺縁異常像を詳細に分析した。対象とした症例は進行胃癌51例,早期胃癌77例,対照群(正常群)として十二指腸潰瘍36例,胃ポリープ53例および非手術例79例である。その結果,1.進行胃癌では「胃変形」(〓)および(〓)を呈するものは80.4%あり,これらは診断可能か強く疑い得る。しかし,充満像に「胃変形」が現われていないものが7.8%あった。2.早期胃癌では「胃変形」(〓)および(〓)の44.2%のものが充満像で強く疑い得る。一方「胃変形」(+)と(-)は55.8%あって,これは正常群との鑑別上問題となる。3.正常例の「胃変形」(+)を呈する40.5%(A群),46.1%(B群)は早期胃癌あるいはその他の疾患との鑑別が必要である。4.胃変形・辺縁異常像は正常群において胃変形のみあるいは辺縁異常像のみ単独で出現することが多いのに対して,早期胃癌では両者が併存する率が多い,そして胃変形では胃角〓開が,辺縁異常像では壁不整が併存する形が多いのが特長である。5.対照群Bにおける検討で「胃変形」は時相により変化する。すなわち検査の最後に撮影した「連続」により「胃変形」(+)の割合は減少する。つまりこの分だけ鑑別に要する無駄がはぶけたことになり,「連続」が有用であると考える。
- 千葉大学の論文