良性および悪性非上皮性人体腫瘍の基質に関する研究 : とくに肉腫の血行性転移の特徴について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人体非上皮性腫瘍の良性例(破壊的増殖を伴わないもの)84例と,悪性例(破壊的増殖を示すもの)すなわち肉腫45例を病理組織学的に検索し,つぎの結果を得た。良性非上皮性腫瘍では,腫瘍細胞に接する基質の間葉性細胞と毛細血管外膜細胞および内皮細胞は,核ならびに原形質に変性像が乏しく,腫瘍実質細胞との境界は明瞭である。これに対して肉腫例では,肉腫細胞に接する基質の間葉性細胞と毛細血管外膜細胞および内皮細胞には不規則な変性萎縮と崩壊が見られ,さらに基質中の細線維にも断裂,融解像が認められる。一方基質に接する肉腫細胞には変性像は認められない。すなわち滝沢のいわゆるMesenchymodystrophyおよびMesenchymolysisが著明に認められた。以上の所見から肉腫細胞に接する基質細胞には良性腫瘍と異なる著明な変性崩壊が起こり,ことに癌腫の場合と異なり毛細血管外膜細胞層は肉腫細胞により疎開され,肉腫細胞が毛細血管壁の内皮細胞と直接接し内皮細胞の変性崩壊を起こし易いことを知った。この所見は肉腫が癌腫よりも血行性転移を起こし易い事実と密接な関係のあることを示唆するものと考える。
- 千葉大学の論文
著者
関連論文
- 呼吸器疾患における呼吸調節研究の展望(第721回 千葉医学会例会・第19回 肺癌研究施設例会)
- 26. Eaton-Lambert症候群を伴なった肺小細胞癌の1切除例(第822回 千葉医学会例会・第24回 肺癌研究施設例会)
- 16. Sleeve Pneumonectomyを行った肺癌の1例(第803回 千葉医学会例会・第23回 肺癌研究施設例会)
- Connective Tissues in Arterial and Pulmonary Disease, TF. McDonald, AB. Chandler eds, Springer-Verlag, 1981(らいぶらりい)
- 3.Eaton-Lambert症候群が疑われた小細胞癌の1例(第601回千葉医学会例会・第13回肺癌研究施設例会)
- 1.特異な全身性Dyskinesiaを伴い過呼吸症状を呈した1例(第554回千葉医学会例会・第10回肺癌研究施設例会)
- 9.溶連菌抗癌剤(OK-432)を使用した原発性肺癌の1症例(第533回千葉医学会例会・第8回肺癌研究所例会)
- 良性および悪性非上皮性人体腫瘍の基質に関する研究 : とくに肉腫の血行性転移の特徴について