大気汚染に関する実験的研究 : 呼吸器系細菌感染にたいするSO_2の影響
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概要
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有力な大気汚染物質であるSO_2の呼吸器系微生物感染におよぼす影響を検索する目的で,普通モルモットと並列して無菌モルモットをも用いて実験を行ない,細菌学的ならびに病理組織学的に検討を加え,つぎの結果を得た。1.Silica吸入モルモットでは,SO_2曝露により肺胞壁におけるSilica粒子数の増加とその滞留が見られる。2.エアゾールとして自然吸入されたモルモット肺内の黄色ブドウ球菌は急速に減少し,ついで消失するが,SO_2曝露無菌モルモットでは著明な肺内滞留が認められる。3.SO_2曝露または黄色ブドウ球菌吸入により,モルモットの肺は軽度ないし中等度の間質性炎の像を呈す。しかるにSO_2暴露下に同菌を吸入させると,無菌モルモットでは出血性気管支肺炎の病像を呈する激烈な炎症が惹起される。4.以上のことから,SO_2は呼吸器系感染の成立を容易にすることが明らかであり,その主要な作用機序は気道,肺の清浄機構の障害であって,それが大気汚染による呼吸器疾患の素因を形成するものと推察した。5.普通モルモットと無菌モルモットの吸入異物にたいする肺の反応の相違,およびSilica吸入無菌モルモットに見られる適応現象とから,気道および肺は出生後に経験する異物との接触により,その防御機構が強化されることと推測した。
- 千葉大学の論文
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