癒着肺における局在性換気ならびに血流分布障害の実験的研究(第1部) : 主として^<133>Xeおよび^<131>IMAAによる左右肺血流量測定を中心として
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概要
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1.体重,10〜15kgの雑種成犬50頭を用いて,エーテル麻酔下に,開胸し,左下肺葉の横隔膜面を横隔膜に,さらに,肋骨面を胸壁に,それぞれ絹糸で固定し,胸膜癒着犬を作成した。それらの癒着作成犬について,術後3ヵ月〜2年の時点で,^<133>Xe,および,^<131>IMAAによる肺シンチフォトグラフを施行し,正常雑種成犬を対照として比較検討し,生体内における局所的肺換気,ならびに,肺血行障害を定性的に分析した。さらに,癒着の状況については,灌流実験後,剖検により確認し,病理組織学的検索を同時に併用した。2.^<131>IMAAによる肺シンチフォトグラフにおいては,癒着部に一致して,^<131>IMAA粒子分布の欠損,あるいは,分布低下現象を認め,その傾向は,癒着の広さよりも,癒着の程度,性状に比例的な関係にある傾向を認めた。3.^<133>Xeによる肺シンチフォトグラフにおいては,注入直後に癒着部に一致して,^<133>Xe粒子分布の欠損,あるいは,密度低下が認められ,これらの傾向は,全般的に,^<131>IMAAよりも著明な傾向がみられた。これらの欠損,あるいは,密度低下傾向と胸膜癒着の肉眼的所見との関係は,^<131>IMAAの場合と同様,胸膜癒着の程度,および,性状との間に密接な関係が認められた。また,これらは,経時的に,左右差は消失の傾向が認められ,一部の実験例においては,癒着部に一致して^<133>Xe粒子の分布状態が,右肺,あるいは,他部に比し,多く残存し,左右差が逆転する現象が認められた。このような現象は,血流に乗って肺内毛細血管に到達する^<133>Xe粒子が,一たん肺胞内に出たのち,癒着という拘束性変化にもとつく換気能力低下のために,肺胞内,あるいは,末梢気管支内に停滞するためと考えられる。なお,癒着部を中心に,肉眼的な検索,および,病理組織学的な検索を行なった結果,肺実質における有意な病変は,まったく認められなかった。4.生体内において,実験的に確認し得た局所的肺動脈血流低下には,^<133>Xeによってみられた局所的換気障害が密接に関与しており,この現象が,病理組織学的に肺実質病変のまったく証明されない胸膜癒着部に一致するところから,これらの局所的な肺動脈血流の循環障害は,胸膜癒着にもとつく局所的拘束性換気障害に起因する可能性が明らかとなった。
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