降圧薬治療前後における循環力学的数値,とくに,心の機械力学的性質の変化について
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概要
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本態性高血圧症患者に,各種の降圧薬を使用したさい,使用前後のほぼ同時点で,高血圧症の重症度および循環力学的数値を求め,降圧薬がそれらにおよぼす影響を調べた。Rodbard,角張にしたがい,心・脈管力学的数値および血圧より心筋張力(T),平均心筋短縮速度(Vel),心筋張力勾配(T・G)を計算した。この計算においては,単純化のために左心室が完全弾性球体であり,心内の血液が完全に駆出されるものと仮定した。各種降圧薬の治療効果により,血圧の下降とともに,TおよびT・Gは下降し,尋常化に向かった。Velの変化は,降圧薬の分時送血量におよぼす影響にある程度関連するように思われた。脈管力学的な型に高血圧症を分類する時,M型,M+E'型ではTが高く,治療により血圧の下降とともに,尋常化に向かった。その他の型では,Tの高まりはM型ほどではなかったが,降圧とともに,尋常化に向かった。Vel.については尋常よりわずか逸脱した範囲より,尋常化に向かうか,尋常範囲内の変化であった。T・Gの変化傾向はTと同様であった。血圧の重症度とT,および,T・Gはほぼ平行的に変化したが,Vel.は血圧の重症度とほとんど関連性をもたなかった。