胎児の脳血管に関する研究
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概要
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人正常胎児27例を用いて脳血管写を施行し,これに脳血管写読影の基準となる種々の計測法を応用して,胎令の増加に伴う脳主幹動脈の走行の推移を追究し,以下に述べる結果を得た。1.内頸動脈はしだいに屈曲を増すが,その程度はsiphon部において最も著しく,siphon部屈曲の進展とともに,内頸動脈分岐部の位置は下降する。2.後交通動脈は胎生7ヵ月以降しだいに凸型より直線型へ移行する。3.前大脳動脈は特徴ある孤状走行を示すが,A_2部における二相性屈曲が胎生5ヵ月で,すでに出現しているのが目立つ。脳梁周囲動脈はしだいに下降する。4.中大脳動脈は下降し,Sylviantriangleは胎生7ヵ月ごろより明瞭となる。5.脳底動脈はClivusに向かって凸型の屈曲を増す。6.後大脳動脈は起始部,本幹とも下降する。以上のように,胎生後半期における脳主幹動脈走行の変化の特徴は,脳の急速な発達に伴い,頭蓋に対するその相対的位置が脳底部に向かって急速に下降することにあるといえる。また,胎生7ヵ月付近を境にして,脳主幹動脈の走行は急速に成人の型に接近してくる。
- 千葉大学の論文
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関連論文
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