食用色素Oil Red XO(1-xylylaxo-2-naphthol)の慢性毒性と安全性再評価に関する研究
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概要
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食用色素Oil Red XO(1-xylylazo-2-naphthol)の食品添加物としての安全性を再評価するために,ラットを用いて経口長期投与による毒性実験を行なった。得られた成果は次のごとくである。1.予備実験として行なったマウスの急性毒性試験では3.0g/kgまで死亡例はなく急性毒性は高い物質ではなかった。2.Wistar系雄ラットに本色素を食餌に2.0%〜0.1%まで添加して自由に摂取させると,動物はこれをよく摂取するが添加濃度が高くなるにつれて成長阻害が強く現われた。1〜2%添加濃度では7週,0.1%添加では32週でその半数が中毒死し蓄積性の毒性の強い物質であることがわかった。3.ラットの剖検所見としては選択的に肝臓に障害がみられ,組織学的には肝実質に特徴的な中毒性壊死性病変が認められた。4.肝の壊死性病変のほかに線維化が顕著に現われ偽小葉を形成し更に肝硬変様変化へと進行してゆく像がみられた。5.飼育の経過中に色素の投与を一定期間中止することにより長期投与を可能にし77週で屠殺するまで飼育を継続することができた。6.52週以上生存した動物の肝の組織学的所見は上記の中毒性病変のほかに,肝癌,肝腺腫を含めて増殖性病変を認めたものが16例中13例あって,長期投与により肝に腫瘍形成が促進される傾向があるように思える。7.以上の成績に基づいて,本色素の安全性を評価するに,わが国では食用色素は使用基準がないので,全食品に10万分の1に添加されると仮定すると,理論的に安全な許容量は設定できないばかりでなく,発癌性の疑いもあることから,本色素は安全性が確保できがたいものであることが明らかにされた。
- 千葉大学の論文
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