アレルギー性気管支炎(喘息前段階)の臨床的分類と喘息移行に関する研究
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概要
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1.近年独立疾患として報告されるようになったアレルギー性気管支炎は,従来の胸部理学的所見による方法により診断することはほとんど不可能である。本症を診断する最も確実な方法は,人工的に咳嗽を誘発し,喀痰を採取洗浄し,鏡検により肺胞食細胞(気管支漏を意味する)と好酸球増多とを証明することである。2.臨床的にはI型:易感冒型,ときに湿性咳嗽を伴う。II型:反復性気管支炎型。III型:痙咳型に分類され,その頻度は,それぞれ36.0%,40%,24%であった。3.発見年令はI,II型は1〜3才に,III型は2〜3才と5才にピークを示し,7〜8才をすぎると激減した。Major allergyは喘息同様,既往歴や家族歴に認めたが,既往に喘息発作を認めたものは除外した。4.混合家塵エキスの皮内反応陽性率はI型が最も低率,II型,III型は,ほぼ喘息と正常児の中間に位していた。5.エピネフリン注射による一過性の症状緩解は66.7%にみられた。6.3年間の経過観察でII型は48%,I型は6.7%,III型は20%が喘息に移行した。I型はII型またはIII型に変わってから喘息に移行する例もあった。7.喀痰に高度の好酸球増多を認めるものは軽度のそれに比し,有意差をもって喘息に移行する。
- 千葉大学の論文