"A Little Cloud" 論-憂鬱という名の牢獄
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概要
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"A Little Cloud"は、Dubliners15編の中で14番目に書かれた作品であり、これまでもさまざまに論じられてきた。しかし、Dublinersの他の作品同様に、読みの可能性は際限なく広がっている。そこにはすぐれた芸術作品が持つambiguityがあり、同時にそれはJames Joyceの作家的方法論とも言うべきものだからである。また、この作品については、Joyce自身が、「"A Little Cloud"の1頁はこれまで書いた詩を全部合わせたよりも私に喜びを与えてくれる」と弟への手紙に書いている。しかし、その理由は示されていない。 本稿では、登場人物の心理や人物像の分析というオーソドックスな手法を取りつつ、伝統的事実からの推測も交えて、その理由を探ってみた。その過程が、この作品の解釈に異なった側面からの光を当てることができたように思われる。
- 2007-12-31
著者
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