屎尿中の螺旋菌に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者は屎尿中の螺旋菌をブイヨン及び合成培地にて増菌しこれを集菌して電子鏡検した。屎尿中の螺旋菌には大小二種を認め,形態的に多形性を示しこれらの意義について考察を加えた。被膜については大小両螺旋菌共に二重の被膜構造を有していた。外被膜は細胞壁で内被膜は原形質膜であると見倣した。鞭毛については大小両螺旋菌共細胞体末端に細線維が多数あり,それらの1本が夫々根部に1コの顆粒を有しこの両者が一組となつていた。又根部の小顆粒は隣のものと接し集団となつて菌端に大きな膨隆を形成していた。之等の事実から細線維個々の形態的独立を認め他の多くの細菌の研究から導き出された鞭毛の形態的特徴概念に一致することにより細線維を夫々1本の鞭毛,根部穎粒を1コの生毛体とし,螺旋菌の鞭毛数に関する昔からの論争においてこの屎尿中の大小両螺旋菌については以上の見解に立脚した多毛説が妥当であると考えた。其の他大型螺旋菌の中,老廃に近づけるものに菌体内に電子光学的密度の一様でない大小様々な辺縁明確な円形穎粒を数個観察し之がBergey等の報告にみられるVolutinであると考え考察を加えた。
- 千葉大学の論文