日本脳炎ウイルスの血球凝集反応に及ぼすウイルス増殖組織の影響について
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概要
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日本脳炎ウイルスの血球凝集反応は既にSabin & Buescher (1950)により見出された現象であるが,それと前後して他の多くの節足動物媒介性ウイルス(Casals等1954),及び他の向神経性ウイルス(Hallauer 1946, Olitsky等1949, Lahelle等1949)においても一定の条件下に血球凝集反応が起ることが明らかにされている。また最近ではリフト・バレー熱ウイルス(Mims等1956),アデノウイルス(Rosen 1958), ECHOウイルス(Lahelle 1958)においても血球凝集反応が報告されるに至つた。これ等の例より判るように血球凝集性は,かつてはMyxovirus group (Andrewes等1955)乃至はPoxvirus group (Fenner等1957)の大きな特徴であるとされたが,最近は他の多くのウイルスにおいても認められるかなり一般的な性状とみなされるようになつてきた。当教室の波多野は先に日本脳炎ウイルスの血球凝集反応の諸条件を検討し,本反応に関与する粒子が感染性ウイルス粒子とは幾分異るが,全く異質ではない物質よりなることを確かめた(波多野1952,1954)。血球凝集素が感染性ウイルス粒子の増殖に件い生成される過程は未だ明瞭ではないが,筆者はウイルス増殖組織を二三変えて用い両者の量的関連性について検討を試みたので,それ等の結果につき述べてみたい。
- 千葉大学の論文