人工気腹療法の効果に対する考察 : 特に上葉に病巣を有する症例に対する効果
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概要
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人口気腹術は従来下肺野の病巣に対して有効であると云われてきたが,上肺野の病巣に対する効果は尚種々論議せられている。著者は此の点を明らかにすべく石川内科及び大船共済病院に於て62名の肺結核患者に人工気腹療法を実施し次の如く検討を加えた。気腹療法を実施した症例は入院中の肺結核患者の中次のものであり,6ヵ月以上気腹療法を継続したものは49名である。(1)上葉に病巣があり気胸不能或は無効のもの…26例(2)両側の上葉病巣が広範であつて気胸外科療法の適さぬもの…11例(3)下葉病巣を有するもの…12例以上の症例に人工気腹療法を実施した方法は左下腹部で腹直筋の外側を穿刺して送気し,送気量はX線透視により安静呼気時に横隔膜円頂部の頂点が前面で第4肋骨の高さ以上にあるのを基準とし,毎週1回600〜1000ccを送気した。化学療法は前記49例の中30例に併用した。