Flavin-Adenine dinucleotideの酵素的水解
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概要
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Flavin-Adenine dinucleotide(FAD)の酵素的水解についてはすでに須田,Kornberg等が報告している。須田はFADに動物組織抽出液が作用すると物FADをCo酵素とするアミノ酸酸化酵素系に於いて,D-アラニン酸化の程度が低下することから,FADが組織抽出液により酵素的に分解されると報告した。その分解生成物の証明は行つていないが,この酵素は燐酸モノエステラーゼ,ピロ燐酸酵素及びActivatorではなく,また抽出液によるFAD分解が無機ピロ燐酸により阻害され,Riboflavin(FR)では阻害されないことからFADのピロ燐酸結合を水解するものであろうと述べている。KornbergはPotatoからDiphosphopyridine nucleotide(DPN)のピロ燐酸結合を水解する酵素,Nucleotide pyrophosphataseを分離し,この酵素がFADのピロ燐酸結合をも水解し,Flavine mononucleotide(FMN)とAdenosine 5'-phosphate(AMP)を生ずることを分光光電光度計で認めた。著者は前報で,豚肝からDPPのピロ燐酸結合を水解する酵素,Esterpyrophosphataseを分離し,その性質について報告した。このEsterpyrophosphataseがDPPと近似の構造を持つFADのピロ燐酸結合を水解し,FMNとAMPを生ずるものと考えて新たに実験を進めた。その結果,EsterpyrophosphataseはFADを水解し得ない。而し新たに家兎の筋肉から分離された酵素液はEsterpyrophosphataseを持たないが,FADのピロ燐酸結合を水解する酵素を持つことを知り,FAD水解酵素とEsterpyrophosphataseとは異ることを認めたので報告する。
- 1955-01-28