疫痢の研究(第30回千葉医学会総会 特別講演)
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概要
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我国に於て,小児期に恐れられている疾患の中代表的な者として,乳児脚気と赤痢,疫痢がある。乳児脚気は小児衛生の進歩に依り,昭和の初期頃から其重症な者は殆ど見る事が無い様になつた。之は小児に対して非常に幸な事である。所が赤痢,疫痢の流行状況を見ると,今なお多数の患者並びに死亡者を出している現況であり,甚だ遺憾に堪えない。昨年度も10万余の罹患者が有り,死亡者も1万以上を算している。小児は成人に比し赤痢,疫痢に罹患し易く,而も小児では屡々重篤な症状を発し,其予後は著しく不良であり,年々多数の小児が其生命を失い,死亡者の大部分を占めている現況である。伊東教授に依り疫痢が発表されてから今日迄約50年の歳月が流れ,其間多くの研究者に依り検索が行われて来たにも拘らず,其本態は今日尚充分には明らかで無く,諸家各々其所見に基いて異なる意見を発表されている。然し近年に於ては,疫痢は赤痢菌簇の腸管内感染を基調として小児に現われる特殊な症候群であると一般に認められている。此本態論とは別に多くの臨床家に依て治療法が考究され,多数の臨床経験よりして次第に有効な方法が実証されている。〓に余等の教室にて実施しつゝある治療方法及び其根拠とする所の事項を少しく述べ度いと思う。
- 千葉大学の論文
- 1954-07-28
著者
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