詩人の経済指数 : ディキンスンとランプ、出版、身体
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概要
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本稿はエミリィ・ディキンスンのオイル・ランプと出版に関する詩・書簡を社会的・経済的・歴史的に考察することを目的とする。最初に考察する"The Lamp burns sure – within – "は、詩人が執筆できるよう召使たちがランプに油を充填するのに対し、詩人を指し示すランプは物書きに専心しており、詩人が創作活動に勤しむことができるのは召使たちの下働きのおかげであると解釈できる。次に論じる"Publication – is the Auction"は、文学市場に作品を産出することが商品として詩人自身の身体を売りに出すという解釈が可能であるため、貧困に陥らない限り、出版を見合わせたいという詩人像が浮かぶ。これらの詩をディキンスンの書簡や社会的・歴史的資料を加えて読むことで、彼女の詩作品が経済的な境遇を背景にもつ産物であると結論付けた。