おたくの消費行動の先進性について
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概要
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本論文では、「おたくの消費行動の先進性を実証し、今後の消費動向を見通して行くこと」を目的とする。「おたく」の定義は、「主に学問として体系化されていない特定の分野・物事に熱中し、そのことにこだわりを持つ人」である。また「単に消費するだけではなく、表現や創作を行う人」とする。また「先進性」とは、消費するだけではなく創造的に情報発信することを意味する。 おたくは熱中する分野にこだわりを持ち、関連する商品の価格には糸目をつけない傾向がある。このような「おたく型消費」を実証するため、「アンケート調査」、「マクロ経済データを用いた分析(一般世帯と単身者世帯の比較)」、「関連業界の実務者へのインタビュー」を行い、おたくと「おたくではない人」(以下、非おたく)の差異性や、おたくをとりまく現状を浮き彫りにする。 アンケート調査から得られた結論は以下の通り。第一に仮説としてたてた「おたくの定義」が支持された。第二におたく群と非おたく群の可処分所得に大差がなかった。おたくは服飾費を大幅に削り、その分を趣味の費用としていることが推測される。消費の内訳に差はあるが貯蓄率には差がなかったことで、おたくが増えたとしても消費全体が増えないことを示している。第三におたく特有の情報発信の方法として、「ニコニコ動画」などがあり、おたくが多いジャンルは、「アニメ」「コミック」などであることがわかった。第四におたくと非おたくの対人関係の能力には差がないことも判明した。 マクロ経済データを用いた分析結果からは、男子単身者世帯では教養娯楽の消費が多く、「おたく的」消費傾向を示した。これに対し女子単身者世帯では被服及び履物の消費が多く、「非おたく的」消費傾向を示した。 最後に、専門家に対するインタビューからは、「おたくである人は、社会的常識がある」という本研究の仮説を裏付ける発言を得ることができた。
- 2009-09-15