日本企業のグローバル化とM&A(第1報告,第6セッション【グローバリゼーション】,日本企業の経営実践と経営教育)
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概要
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本報告は、グローバル戦略におけるM&Aの意義について、その効果と利点を整理するとともに、M&Aを一連のプロセスと捉え、そのマネジメント的側面に焦点を当てる。まず、グローバル戦略との関連でM&Aを考える場合に、その目的によって技術獲得型M&Aと市場拡大型M&Aに分類でき、それぞれの特徴を整理・検討する。特に、日本企業では戦略的にM&Aを活用したグローバル化は、最近積極的な傾向にあるが、組織内にM&Aに関連する知識やスキルが欠如している場合も多く、組織的レベルからのM&Aへの取り組み体制の整備が重要な課題となっている。M&Aにおける価値創造は取引自体ではなく、準備段階・交渉段階から統合段階に至る一連のプロセスから創出するものであり、このプロセスをいかにマネジメントしていくのかが成否に大きく影響する。さらに、海外企業とのM&Aは、新しい経営資源や知識に接近することでもあり、組織能力の向上にも寄与する。M&Aはそのメリットが強調される一方で、企業間同士の結合であるために、さまざまな問題も生じる。特に、統合段階における従業員間の問題が大きい。そこで、M&Aの知識やスキルに関する経営教育を経営者層のみならず、管理者層や従業員層にも実践することである。M&Aは企業の一部の人だけが関係するものではなく、最終的には全従業員が影響を受けるために、全社的な経営教育が課題となり、その円滑な実践のためにも専門担当者や専門部署など組織的なM&A推進体制の構築が有効であると考える。
- 2009-06-26