グローバル経営と企業の境界問題(第3報告,第6セッション【グローバリゼーション】,日本企業の経営実践と経営教育)
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概要
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本報告では,企業の境界問題をめぐる最近の議論を検討し,それがグローバル経営に持つ意味を探ることを課題とする。第一の論点は,企業の垂直的アーキテクチャーという概念とその構築に関わる問題である。それは,経営者が企業全体の境界を考慮するとき,内製か購買か系列化だけではなく,それぞれを組み合わせる混合モードの可能性をあるという議論である。この点は特に,ローカルコンテントの要請など進出先において多様な要求に直面する多国籍企業にとって戦略展開の幅の拡大を意味するものと考えられる。企業境界は単純に取引コストの大小ではなく,価値連鎖の中で,如何に自社の活動を位置づけて,企業全体としての価値を増大させるかという視点から判断すべきである。次に,グローバルな経営においては,市場を利用することの経済的・非経済的障壁が国内経営に比べてはるかに大きい。そこで機会主義的行動の抑制を可能とするような情報技術-インターネット-の発展の意味は極めて重要であろう。したがって,資産特殊性と情報依存性などの条件によって,企業境界を縮小することが適切となるケースが多いと予想される。しかし,一方において,インターネット技術を活用していくことで,情報依存性が強く,形式的情報が優勢な場合には,企業内部での生産費用が大幅に減少し,企業の垂直的境界を拡大する可能性もある。いずれのか状況を判断し,適切な決定を下すことが経営者には要求される。
- 2009-06-26
著者
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