インド企業のCSR活動の比較研究
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概要
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CSRに関する様々な国際的な動きの影響を受けて、インドの大企業や財閥系企業も近年トリプル・ボトム・ライン(TBL)の考え方をもとにCSR活動を行っている。また、これらの企業はGRIガイドラインに基づいてCSR報告書も作成し始めている。しかし、インド企業の中でこのような企業の割合は非常に低く、ほとんどのインド企業が慈善活動を中心にCSR活動を行っている。ここでは、インド経済にも明確な役割を果たしている財閥系企業のタタやリライアンス、そして、多国籍企業であるユニリーバの様々なCSR活動を紹介し、比較を行う。タタ財閥の場合は、持株会社であるタタ・サンズの約3分の2の株式が様々な公的トラストによって保有されており、それらのトラストを通してCSR活動を行っている。また、タタ・グループが様々な慈善活動を行うとともに、環境問題を配慮した新製品の開発などにも取り組んでいる。国連グローバル・コンパクト(UNGC)にも42社のグループ企業が加盟していることで、タタ財閥はCSRの国際的な動きにも参加しているといえる。リライアンス財閥は、新興財閥であるにも関わらず、財務またはCSRの側面の両方で優れている。リライアンスは、GRIガイドラインに基づいてCSR報告書も発行し、TBLにもとづいたCSR活動にも取り組んでいる。しかし、CSR活動の中心にはDhirubhai Ambani Foundation(DAF)を通して行う慈善活動である。ユニリーバは戦略的なCSR活動に取り組んでいるインド企業のひとつであり、「CSRは費用(Cost)ではなく、機会(Opportunity)であり、これは企業の利益につながる道でもある」という考え方で様々なCSR活動に取り組んでいる。特に、自社の製品を通して栄養教育を提供することがユニリーバの印象的な活動である。そのほかにも様々な慈善活動を行っている。
- 2009-06-26