日中企業交流に及ぼす経営文化の影響に関する応用心理学的研究 : その1:滋賀県立地企業の中国進出動機をもととして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1978年の中国の改革・開放政策への転換、さらに1989年の「ベルリンの壁崩壊」によって、真義のグローバリゼーションが進展した。1980年代、日本企業も急激に進む円高に対応するため、海外進出を加速させた。アメリカへは貿易摩擦解消の意図もあって現地化した。対中国ビジネスについては、欧米企業が製造コストの比較優位からバリューチェーンの一環として重視し、先行した。欧米企業に遅れたが、中国に進出する日本企業の数は年々増え、その規模も拡大している。ただ、中国ビジネスはリスクが高い。海外企業の中国進出の各種データをみると、まず各国とも撤退率が高い。しかし各国比較では、日系企業のそれは相対的に低い。また、日中企業のアライアンス形態をみると、「合弁」から「独資」への転換傾向がみられる。そもそも「国営」を前身とする中国企業の利益率は低く、アライアンス先中国企業の経営体質は脆い。さらに、現地経営における採用難、早期退職、知的所有権の侵害、代金回収の困難性、アライアンス先とのトラブル等の問題指摘は枚挙にいとまがない。日本企業は中国進出に不安を抱きながらも、短期的利益を追わず、長期的な発展を志向して進出している。総経理の現地化には消極的であるが、地方政府とのコミュニケーションを円滑に行いながら、従業員教育や福利厚生の施策をきめ細かく実施し、いわゆる日式経営文化により異文化経営摩擦を克服している。
- 2009-06-26