花の模様の形成機構
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概要
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花の模様は多く場合,アントシアニン色素の生合成活性が花弁上の位置によって異なることによって形成される.花の模様は,アントシアニンの生合成に関わる遺伝子のみを対象とした,組織分化の極めて単純な系である.従って組織分化を導く「自立的な」,「部位特異的な」,遺伝子の活性化・不活性化の機構を解明するための,極めて優れた研究対象である.花の模様は多様であり,境界領域を形成する細胞の色の変化にも様々な違いが認められる.星型や覆輪型など品種として安定して発現する模様の形成には,内生的な転写後抑制が関与していることが示されつつある.一方で,不規則に発現する模様の形成にはトランスポゾンが関与していることが理解されつつある.模様を変化させる環境条件や化合物についての情報も得られており,これらは模様の形成機構を解明するための有力な手がかりになると期待される.
- 2009-05-31