大西忠治の「集団つくり」理論に関する一考察
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概要
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大西の「集団つくり」に対しては様々な批判があるが,それらの批判は必ずしも的を射ているとはいえない。大西は,学級集団内に民主的関係をつくるために手段としての「集団つくり」を実践した。「集団つくり」にとって,一番重要なのは「討議つくり」だと考え,晩年には,「討議つくり」の基本原理を対話におき,様々な「討議つくり」についての技術を提案していた。また,集団が民主的なものとなるためには「指導」が必要であり,「指導」を子ども達の中に浸透するために「核つくり」を行ったのである。大西の「集団つくり」を発展継承するためには,「討議つくり」を「関係性の悦び」を実感できるようなものとして捉えなおすことが必要である。それを実践するためには,「指導-被指導」という関係を強く求めない方向で係わり合いを築いていくということと,「班つくり」においては,班競争を重視せず,対話に重点を置いた活動を行うということが肝要となる。これに伴い,学級集団の発展段階を,討議の質と形態に軸を置いてとらえることが有効であると考える。キーワード:大西忠治, 集団つくり, 対話, 討議つくり, 関係性の悦び
- 山形大学の論文
- 2006-03-21