アジアの初等教育における言語カリキュラムの時間配分 : 比較制度分析(教育政策研究 : 哲学、比較、開発)
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概要
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学校で教えるカリキュラムは,国家の政治的,経済的,社会文化的要因が複雑に絡み合い形成されている.本稿のねらいは,アジアの初等教育における外国語または公用語としての英語教育と国語教育の時間配分に,国家の政治的,経済的,社会文化的要因がどのように影響しているのかを検証する.対象国が限定されていることから,統計的に有意な要因を特定化することが困難であった.しかし,本稿の目的は,統計的に有意な結果のみを検討するのではなく,言語カリキュラムの時間配分におそらく関連があると考えられる要因を探ることにある.結果は,英語教育の時間配分には,英語圏による植民地化の歴史め有無が最も強く関連していた.その他,国家の経済水準も関連している可能性がある.国語教育の時間配分には,国家の民族的言語的多様性と経済水準,さらには政治的多様性と独立した年がこの順め強さで関連している可能性があると考えられる.英語と国語の時間配分を規定している要因は国家の能動的な行為を反映していると考えられ,世界システムの影響は認められなかった.言語カリキュラムと国家の構造特性との関連を検討することは,その確立過程と現状を考える上で有益である.より統計的に有意な議論を可能にするために,充実したカリキュラムのデータ・ベースの整備が求められる.
著者
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