幼児が複数の遊離物を扱い始めるとき : 幼児のブロック遊び場面における環境の表面のレイアウトの記述
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概要
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乳児の動画データベース(佐々木,2008)作成のために収集されたビデオ映像を用いて,ある幼児が誕生後14ヶ月から24ヶ月まで家庭で繰り返し行ったブロック収集行為を縦断的に観察した。本研究では特に,幼児の行為の周囲にある環境の表面のレイアウトに注目することで,環境と動物の行為を切り離さずに,行為を含意する環境を記述し,環境を含意する行為を記述することが可能であることを示した。本研究の結果,床面の遊離物の配置がもたらす行為の機会を反映した幼児の柔軟な姿勢の変化が見られ,また,幼児は周囲の遊離物の配置換えを行うことによって,さらなる行為の機会を維持,獲得していたことが示された。環境の表面のレイアウトを反映する新たな行為群の創発と,それとともに生じる制約の変化に際して,幼児がブロック収集という同一の目的を柔軟に遂行していたことは,環境がもたらす制約の中で,幼児の行為群が補償的に結びつく形で選択されていたことを示唆するものと考えられる。
- 2009-06-10
著者
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野中 哲士
吉備国際大学保健福祉研究所
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野中 哲士
Ecole Des Hautes Etudes En Sciences Sociales Groupe De Recherche Apprentissage Et Contexte
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