防穀賠償交渉(1893年)における日清韓関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では1893年の防穀賠償交渉について,これまでの研究で看過されがちであった朝鮮と清(袁世凱)の動向を中心に交渉過程を考察し,第一に,日朝間賠償交渉を本来の経済問題から政治問題へと変化していく過程として捉え,契機となった大石公使の派遣をめぐる朝鮮側及び清側の立場を明らかにした。第二に,日朝間の調停にあたった袁の立場・活動に焦点をあてることで,清の朝鮮に対する影響力の実像を明らかにし,宗属関係の現実の一断面を提示した。第三に,朝鮮側の対応,とりわけ東京交渉案の実態を明らかにした。防穀賠償交渉は,日清戦争前年の東アジアにおける日本・清・朝鮮三国の国際関係,なかでも清・朝鮮間の宗属関係の現実がどのようなものだったかを示す事例として評価できると考える。
- 2009-06-25