生活実践としての仏教 : 高齢女性と寺院の親密性に関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
寺院に溢れる老人の姿は、「宗教嫌い」といわれる現代日本においてもそうめずらしいものではない。しかしながら、老人自身の聖性の問題に言及した研究はあるものの、老人と生活の中の仏教(もしくは宗教)の密接な関係について論じた研究は少ない。老人たちを寺院にひきつけてやまないものとは一体何だろうか。何が彼らにとって魅力的なのだろうか。本稿は、福岡市近郊の真言宗寺院の参拝者、特に高齢女性の実践を手掛かりに、生活の中の仏教と高齢女性との関係性をいささかなりとも明らかにすることを目的としている。未曾有の生の長さを生きる可能性と共にそれに伴う困難に立ち向かわなくてはならない可能性をもつ現代において、寺院で一心に祈る彼女たちの実践にみられるのは、自らの幸せの形成に深く関係する親しい他者(II家族)の祈り手としての高齢女性の姿と、現世の問題を解決しうる圧倒的な「力」を持つものとして求められる生活実践としての仏教の有様である。
- 2009-06-30