国際情報機関の存在意義の考察 : 我が国での創設の必要性
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概要
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私は昨年6月、約30年間の国家公務員生活を経て大学生活に転じた。公務員在職中は、大半を国際情報分野の実務に携わってきた。この経験は我が国の上級職国家公務員としては外交官を除いては極めて例外的なものだといえる。といっても特段の理由があってそうなったわけではない。幾つかの人事上の偶然が重なって、たまたま結果的にそうなったというだけであろう。こうした偶然に、結果的に極めて刺激的で得難い経験の連続であったこともあって、個人的には大変幸せであったと感謝している。その間、実に数々の貴重な経験をさせてもらった。ことの性質上その一一の内容を公表するつもりはない。そうした前提の上ではあるが、一応の区切りをつけるに当たって若干の総括的報告はする義務があるものと考える。本稿はその一環である。結論を先に記せば、公務員としての30年間「日本は国際情報戦線で勝てる体制になっていない」ことを痛感させられ続けたということだ。その結論として、我が国において是非とも国際情報を担当する機関を創設させたいと思う。その為にも既存の関係機関を整備・拡充すると共に、大学などでの国際情報機関の存在意義・実態などに関する教育・研究を充実させていかなければならないと考えている。微力ではあるが私も大学を拠点に、そうした目標に向かって国際情報に関する教育・研究活動を実践していきたいと考えている。