『経済学批判要綱』とフランス革命(秋元英一先生退職記念号)
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概要
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本稿は,マルクス『経済学批判要綱』とフランス革命との関係を解明するものである。フランス革命は1789年から始まり1799年のナポレオンのクーデタで終わるのではなく,さらに彼の退場(1814年)まで持続する。本稿は,その「第一次市民革命(1789-1814年)」から「第二次市民革命(1848-1851年)」までの過程に対するマルクスの時論をあとづけ,ナポレオンが建設した官僚制国家がフランス原蓄国家に他ならないことを明らかにする。原蓄国家は産業革命を起動させ,産業革命から生まれた産業労働者がフランスの市民社会の成員となる「第二次市民革命」を引き起こす。そのさい,フランス市民社会の構成原理は1789年の「人権宣言」の「自由・平等・所有」から1848年の「自由・平等・友愛」に変更され,「所有」は「労働」とともにフランス市民社会の「根底」=基本関係となる。マルクスはその「自由と平等」および「所有と労働」の意味を『経済学批判要綱』領有法則転回論で論じた。