北海道・東北・関東地区における私立短期大学図書館員の利用指導についての意識調査報告
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概要
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短期大学図書館の利用指導を考えていく上での基礎事項として図書館員の利用指導についての意識調査を実施した。結果は以下のとおりであった。(1)被調査者は, 20代〜60代にわたっており,経験年数から中堅・ベテランが多い。利用指導についての教育を受けた者は36.4%にとどまっており,自館での研修は少なく,大学・短大の講義や講習(45%),館外研修会(20%)で教育を受けた経験を持つ。(2)図書館員として利用者が自立した図書館利用者となることを援助し,図書館ツールの使い方を教え,図書館の仕事として利用指導を認識している(Q1〜3 :85-95%)利用指導は利用者からの要請を受ける受け身の姿勢だけではいけないとする意見(57%)が半数を占めたものの,必ずしも積極的姿勢をもっていない者も42.6%確認された(Q4)。(3)利用指導は図書館業務として「ふさわしく(82.6%)」「考えるべき(81.4%)」と認識しているものの,現状の利用指導実施率は30%を切っており,個人の意識とはかなり隔たりがある。(Q5,12)。(4)利用指導は学生のレベルを想定した幅広い内容のものとの理解はさほど高くなく(46.7%),グループを対象として展開することについても賛成側とする意見(31.5%)は多くない(Q6,8)。(5)12の設問と基礎事項とのクロス集計を行い,検定を試みた。結果,利用指導の実施の有無という項目と,12個の設問中8個の設問との関連において有意差が認められた。このことから実際に利用指導を実施している図書館職員と実施していない図書館職員とで利用指導に対しての意識の相違が確認された(Q3〜7,9,11〜12)。(6)対処すべき課題として多かったのは,「教員との連携」,「技術の修得(向上)」,「資料の充実」,「職員増」となっており,これらは職員共通の課題としてとらえられている。「職員増」については,特に職員数3人以下で働く職員と6年から10年の勤務年数を持つ職員に必要性が強く現れた。
- 釧路短期大学の論文