多元的開放型リージョナル・ガバナンス形成過程としての欧州近隣諸国政策 : F.タシナーリの論考を手がかりに
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概要
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欧州近隣諸国政策は,これまでEU拡大が前提としていた「内」と「外」の二分法を超える新しい課題を提起している.EUの近隣諸国は,統合のプロセスとしてのEUが,グローバル・ガバナンスのアクターとしてのEUに出会う場だからである.EUは,補完性原理に基づく多元的な「制度の共同体」が作り出す規範を,ある程度の選択の幅の範囲内で(時に加盟しないまま)国家が自発的に受け入れ,開放的な「市場の共同体」が生み出す利益を分かち合い,「安全保障の共同体」を維持する自主性に基づいたヒエラルキー的システムを作り出している.近隣諸国を「市場の共同体」ばかりでなく,部分的に「制度の共同体」の活動に参加させ,さらにEUを支える「理念の共同体」を一般化し,ENP行動計画や「地域の共同体」を通じて近隣諸国に普及させていくことは,「制度の共同体」によって生み出された多元的開放型のガバナンス・モデルを受け入れる社会的土壌を作り出していく.こうしてEUは,「内」のボーダーを崩していくシステムから「外」のボーダーをも崩しながら,新しいグローバル・ガバナンスを構築していくシステムに転換していく潜在的可能性を持つ.この意味において,欧州近隣諸国政策の実現過程は「多元的開放型リージョナル・ガバナンス」の形成過程である.
著者
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