John Updikeの現実受容の世界観 : Saul Bellow との比較において
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概要
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UpdikeとBellowの作品にはいくつかの共通のテーマが見られる一方、共通点を持つがゆえに両者の相違もまた明らかになり、その相違は作家の世界観に通ずる本質的なものである。Updikeによる書評からBellow評価とその共通点を割り出し、さらにRabbit ReduxとMr. Sammler's Planetにおける現実との距離の取り方を比較し、両者の相違点を明らかにすることにより、Updikeの世界観を考察する。いかに不完全で堕落していようとこの世の現実を受容するというのが彼の現実に対する態度であり、これは善悪含めすべてが神により創造されたものであるから、すべては神により是認されているとするルター派的世界観に由来するものである。このような世界観は9.11のテロ事件の直後に書かれた短編 Varieties of Religious Experienceにも顕著に現れており、不完全な現実を受容し、その現実と折り合いをつけながら、生の真実を追究しようとする姿勢こそがUpdikeの創作姿勢なのである。
著者
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