河川流量測定を利用した地層の透水性評価について : 房総半島南端部の千倉層堆積域を例にして
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概要
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首都圏の廃棄物排出量に対する処分場の容量は絶対的に不足しており,廃棄物および残土処分場の建設計画は今後も増加すると思われる.処分場は微量の漏水であっても重大な環境汚染をもたらす危険性を内在しているため,建設地点に分布する地層の透水性の評価が重要である.しかし,大規模な建設計画でない限り,水循環に関連する科学的な事前調査が実施されることは少ない.とくに第三紀から第四紀の地層分布域では,地層の透水性を評価することが技術的にも難しい.筆者らは,千葉県房総半島南端部の丘陵地域の河川源流部において水文地質調査と河川流量測定,水質計測を実施し,泥質層主体地域における水文循環特性の検討を試みた.一般に処分場建設に適していると評価されることの多い泥質層主体地域においても,河川水と地下水の相互流出入が生じていることを確認した.とくに渇水期の地下水湧出と河川水の地下浸透には地質条件が重要な要素となっており,詳細な地質記載と正確な地質図の作成が不可欠である.単に既存資料から概略地質を確認するだけで,処分場の立地適性を評価することは極めて危険である.現地踏査と河川流量測定,水質計測を水文地質条件や季節を変えて実施することで,山間地での地層の透水性や水循環特性の考察が可能となる.
- 2009-05-25
著者
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