部位特異的変異導入法によるGLUT1蛋白の解析 : 外側リガンド結合部位の同定
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概要
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赤血球/HepG2型糖輸送担体(GLUT1)の構造機能相関について,in vitro site-directed mutagenesisの手法を用いて検討した。Gln^<282>→Leu,Asn^<288>→Leu,Asn317→Ileの三種類の罪変GLUT1cDNAをKunel法により作成し,これをChinese hamster ovary (CHO)細胞に過剰発現させ,野生型GLUT1と同等の発現レベルを有する細胞株をWestern Blottingにより選択した。三種の変異株は,非発現細胞株(CHOK1)に比し高い2-deoxy-D-glucose輸送能を示し,これらの残基は単独では糖輸送能にとって不可欠なアミノ酸ではないことが示唆された。また,carbohydrateの標識及びサイトカラシンBを用いた標識によりこれらの変異体はいずれも細胞膜面に発現していることが確認されたが,G1n^<282>→Leu変異細胞株においては外側結合部位に特異的に結合するリガンドである2-N-4-(1-azi-2,2,2-trifluoroethyl) benzoyl-1,3-bis (D-mannos-4-yloxy)-2-propylamine(ATB-BMPA)による標識が野生型GLUT1発現株に比し約5%に低下していた。更に,野生型細胞株とGln^<282>→Leu変異細胞株において,外側結合部位に特異的に結合するグルコースアナログである4,6-0-ethylidene-D-glucose輸送の阻害を比較したところ,野生型細胞株では12mMのKi値をもって糖輸送の阻害が認められたが,Gln^<282>→Leu変異細胞株ではKi値は>120mMであり阻害効果をみとめなかった。以上の結果よりGln^<282>残基に対する変異の導入により,外側結合部位に特異的に結合するリガンドであるATB-BMPA,4,6-0-ethylidene-D-glucoseに対するGLUT1の親和性の特異的かつ高度な低下がもたらされることが示された。
- 神戸大学の論文
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