日本企業の戦略的行動 -薄型テレビ企業の事例-
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概要
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本稿では,日本の薄型テレビ企業が,競争によって淘汰されず共存している背景にあるメカニズムを解明する。薄型テレビをめぐっては,日本や北米,欧州の市場を中心に激しい競争がおこなわれてきた。競争に参加する他国企業が,1国につき1社もしくは2社程度であるのに対して,日本企業はより多くの企業が競争に参加し,共存している。本稿では,シャープ,ソニー,松下の3社を対象とした事例研究を通して,日本企業の薄型テレビに関する戦略的行動を整理し,各企業がおこなった戦略的行動の相互関係を分析した。その結果,つぎのような結論が析出された。日本企業は,薄型テレビをめぐって同質的な競争をおこなっていた。これは,ブラウン管テレビをめぐる競争と同様の特徴であり,結果として複数の企業が高い技術を保有するようになった。また同時に,日本の薄型テレビ企業は,液晶とプラズマという異なる技術にもとづく同質的な競争もおこなっていた。異なる技術にもとづく同質的な競争によって,競争をおこなう企業が保有する技術はさらに高められた。高い技術を保有する企業は,競争で淘汰されにくくなるため,日本企業は競争によって淘汰されることなく共存していた。
- 2009-09-10
著者
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