A Quantitative Analysis of the Mechanism of the Choice of Route for Commutation
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概要
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移動経路の選択に関する研究は,道路交通に関する研究分野において,すでにかなり数多くおこなわれている。実際,ウォードロップの経路選択モデル,AASHOの転換率曲線,坂下のラムダ・ミュー法,星野の連立方程式モデル,あるいは,平原のエントロピー・モデル等が提唱されている。ここでは,「通勤を可能にさせる複数個の経路をもつ定期券通勤者が,どのような要因によって実際に用いる通勤経路を選択するか」という問題について実証的な分析をおこなった。特に,定期券通勤者が経路選択の際,種々の通勤経路間の時間的差異を重複するか,あるいは,金銭的差異(金銭的費用の差異すなわち,通勤費の差異)を重視するかという問題について検討をおこなった。通常,定期券通勤者の通勤費は,雇用者が支給するため,定期券通勤者は,通勤費によるよりも,通勤時間によって通勤経路を決定するであろう。すなわち,より低い通勤費の経路よりも,より短い通勤時間の経路を選択するであろう。ここでは,こうした通勤者の行動に見られる特性を実証的にみいだそうとしたのである。実証の方法としては,複数個の通勤経路(ここでは特に2個の通勤経路のある場合を考察の対象とした)のうちある一つの経路への定期券通勤者の配分率R_Sを被説明変数として,選択し得る経路間の通勤費ならびに通勤時間の差異に関する変数を説明変数とするモデルを作り,そのモデルをデータにあてはめて,いずれの変数が配分率R_Sに有意な影響(効果)を与えるかを検討するという方法を用いた。その結果,配分率R_Sは通勤経路間の時間的差異によって決定されることが明らかにされた。いいかえれば,通勤経路は,通勤経路間の通勤費の差異によるよりも,むしろ,通過所要時間の差異によって選択されることが明らかにされた。なお,この研究に際しては,京成電鉄旅客需要予測研究グループの方々(田中甫邦氏,菊谷和夫氏,為我井隼夫氏,清田源樹氏,吉澤将氏,高橋彊氏,佐藤哲郎氏,和気光夫氏,石崎邦夫氏,濱岡哲氏,平野誠氏)の協力を得た。ここに記して謝意を表する。
著者
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