『明暗』にみる漱石の女性観(下)
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概要
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前稿のお延、お秀、吉川夫人に続き、本稿では、いよいよ最後の砦ともいうべき、関清子を取りあげる。しかし、なんといっても清子研究を困難にしているのは『明暗』の中絶に他ならず、これまでのような作品を丹念に読み解き、そこから一説を導き出すという手法がそのまま清子に通用するものかどうか、甚だ疑わしい。従って、本題の清子論に取りかかる前に、残された貴重な手掛かりである漱石その人に触れておくことにする。これまで導き出した結論と照らし合わせておく必要もあろう。むろん、漱石のすべてを制覇することは到底不可能であるが、清子像の解釈、ひいては『明暗』の解読に繋がる何らかの資料を得ることが目的である。その上で清子論に入り、本稿の総まとめへと繋げたい。
- 東京女子大学の論文
- 2000-03-15