本邦における幼児期のストレス研究に関する文献的検討
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概要
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本稿では,幼児期のストレス関連問題の予防と治療・援助に寄与できる研究の方向性への示唆を得るため,Lazarus & Folkman(1984)による「心理的ストレスモデル」を準拠枠として用い,本邦における幼児期のストレス研究を概観した。その結果,この研究領域は1994年の嘉数らの報告に端を発する,比較的新しい領域であることが分かった。そしてこれらの研究から,(1)幼児期にも日常的なストレッサーが存在すること,(2)幼児においては,コーピングとストレス反応とを明確に区別することが困難であること,(3)幼児のストレス反応は,幼児期特有の反応を捉え得る尺度の精錬が必要であること,(4)ストレス媒介要因としては,幼児の個人内要因に加え,周囲の環境要因との関連の検討も必要であること,さらに(5)幼児のストレスについて捉える際には,自己評定と他者評定におけるそれぞれの課題を踏まえた方法論が必要であること,などが考えられた。
著者
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田中 依里
Graduate school of Psychology, Kurume University
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岩元 澄子
Department of Psychology, Faculty of Literature, Kurume University
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田中 依里
Graduate School Of Psychology Kurume University